大手自動車部品メーカー新工場 仮想インフラ基盤構築 Project Story

新工場稼働に向けて最後の仕上げ。仮想インフラ基盤構築プロジェクト。
普段、ユーザーの目に触れることの少ないITインフラ。
しかし、私たちの体内にくまなく張り巡らされている神経網と同じく、現代社会に不可欠でとても身近な存在でもある。
DX時代に欠かせないITインフラを構築し、
顧客のビジネスを支援している三栄ハイテックスの技術者たちを紹介したい。

プロジェクトメンバー

鈴木

[プロジェクトリーダー]
ICT ITエンジニア

1993年入社。本プロジェクトのリーダーとして、進捗管理やお客様との仕様検討などを担当。

田中

[仮想マシン構築担当]
ICT サーバーエンジニア

1997年入社。新工場に移設するシステム用の「仮想マシン」を構築。ひな形により短納期化に貢献。

熊澤

[基盤構築作業担当]
ICT ネットワークエンジニア

2017年入社。ストレージやネットワークなどハードウエア部分を構築。

ITインフラは、現代企業のビジネスインフラ

現代の企業の多くは、業務基幹システムと呼ばれる統合型のソフトウエアを駆使して、経営効率を高めている。生産工場であれば、さまざまなシステムが連携し生産管理が行われる。製品を受注した瞬間から必要な資材を算出し、調達部門を通じて協力業者に部品の発注をかけ、予定納期に合わせて製造が開始される。もし、何らかの要因で、これらのシステムが使えない事態に陥ったら、たちまち企業の生産活動は停止してしまう。そんな基幹システムの中枢であり、企業活動をITで支えるのが、今回のプロジェクトで取り上げる『仮想インフラ基盤』だ。仮想インフラ基盤とは、企業が使用しているさまざまなシステムを一つのプラットフォーム上で動かすための仕組みである。サーバーやストレージといったハードウエアと、各種アプリケーションに対応するOS、ミドルウエアなどのソフトウエアで構成される。物理サーバーを仮想化することにより、1台のマシンで複数の仮想システムを動かすことが可能となる。その結果、TCO※1を削減し、システム全体の効率化を実現しているのが特徴だ。
このように重要な仮想インフラ基盤だが、新たな拠点を作る場合、その構築作業は建設工程の「最後の最後」にまわることが多い。理由のひとつとしてIT技術や機材が日進月歩であり、建物のように数年前から計画を進めてもすぐに時代遅れとなってしまうこと。そしてサーバーやネットワーク機器といったハードウエアを設置するためには、建物だけではなく、電源やネットワーク等の設備も完成している必要がある。このプロジェクトの舞台となった「大手自動車部品メーカー新工場」でも、まさに状況は同じであった。
リーダーを務めた鈴木は、当プロジェクトの担当が決まった時の思いを次のように述べる。
「今回のプロジェクトでは、システムの企画段階──課題や要望の整理、導入計画などはお客様側で決定していました。ただ、本社と新工場間を跨いだHA構成※2で仮想インフラ基盤を接続する必要がありましたので、これまでに当社で経験した案件の中でも規模が大きい部類に入ると感じました。また、同時にBCP対策※3のためにデータセンターで稼働しているバックアップシステムを新工場へ移設することになり、困難が予想されるプロジェクトだと直感しましたね」。
※1 TCO:Total Cost of Ownership (総保有コスト。初期投資から運用、保守、維持費用を含めた購入から廃棄までの総経費。)
※2 HA構成:High Availability(高可用性 のシステムおよびネットワーク。ユーザー側から見て、計画停止以外ではシステムが停止をせず稼働させること。)
※3 BCP対策:Business Continuity Plan (事業継続計画。自然災害や有事の際、ビジネスをいち早く再開、継続をするための方法や計画。)

本番環境を丸ごとコピー。短納期化を実現した“策”とは

先に述べた通り与えられた期間は短く、約半年。しかも、建物が完成して機材を搬入できるようになるのは工場の稼働開始1カ月前だという。
「インフラ基盤がなければ、実質的に工場の設備は何ひとつ稼働できない」ため、納期遅れは絶対に許されない。そのプレッシャーはかなりのものがあった。
悩みぬいた末、鈴木は既存の仮想インフラ基盤をベースに、新工場で必要とされる機能を選び出してパッケージ化する手段を思いつき採用した。そうすれば、ゼロからシステム構築をするのに比べて、大幅に工期を短縮することができる。鈴木が振り返る。「パッケージ化の効果は期待以上で、工程はおよそ1/3に圧縮できたのではないかと思います」。
そこでパッケージ化を具現化したのは、新工場に移設するシステム用の仮想マシンを構築した田中だった。まず、今、本社で稼働しているものと全く同じ機能を持ったサーバーをひな形として構築する。そこから必要となるシステムを選んで複製するのだ。ひな形サーバーを構築する手間はかかるものの、いざ完成してしまえば、あらゆるシステムでひな形を使いまわすことができる。そのため、一からサーバーを構築するよりもトータルでの工数を削減することができるのだ。それが田中のパートでは大きな効果をもたらした。
「ひな形を用意したことで、開発・検証作業はかなり加速しました。短縮した結果生じた時間を後工程のアプリ開発にまわすことができました」。

サーバールームに電源がない!? 想定外の事態が発生

一方、ハードウエアに当たるインフラ基盤の構築作業を担当した熊澤にとっては「忘れられない現場」となった。というのも、当時の熊澤は三栄ハイテックスに転職したばかり。さらに以前の職場は、同業界とはいえサーバー運用・保守がメインであり、今回のような大規模なストレージ構築はほとんど経験がなかったからだ。
「前職の時は、このままだと技術者として幅が狭くなってしまうことを危惧していました。そのため、インフラ構築をはじめとした総合的なITサービスを提供している三栄ハイテックスを選んだのですが、転職後、最初の現場としては想定外でした」。
インフラ基盤構築の作業自体は、地道なものだ。田中ら設計者がお客様との合意の下に作成した詳細設計に基づき、サーバーやストレージ、ネットワーク機器などを組み合わせていく。その際、それぞれの機器を設計通りに動かすためにコマンドラインと呼ばれるインターフェースを利用する。その種類は実に数千。
「実際に使うものは限られるのですが、それはあくまで結果。そのひとつを選ぶために、何倍、何十倍のコマンドライン検証することもあります。コマンドライン同士や各機器には相性もあります。短納期なうえに、ナレッジから始めなければならない身にとっては山場の連続でした」。
顧客の本社のサーバールームに通い詰め、格闘すること2週間。完成したサーバーやストレージ、ネットワーク機材を新工場に運び、設置する仕事も熊澤が担った。
「そこで顧客の本社にいる鈴木さんと私でテストを行い、問題なく稼働することが確認できた時点で引き渡す予定だったのですが……」。
新工場の真新しいサーバールームに足を踏み入れると、まだ工事が完了しておらず電源が来ていない驚きの状況に遭遇した。顧客の本社でテストのために待機していた鈴木にとっても、これは「さすがに想定外」だった。
ただ、驚いてばかりもいられない。すぐにお客様を経由して工事関係者に連絡。以前から密に連絡を取り合っていたことが功を奏し、すぐに電源工事に取り掛かってもらえた。その後、機材設置作業は深夜までかかったが、何とか納期までに引き渡すことができた。
熊澤は、その時の想いを鮮明に覚えている。「その日は納期に間に合ったという安堵でいっぱい。新工場を離れる段になって、やっとやり遂げたっていう喜びを実感しました」。

専門分野を持ったゼネラリストが力を結集

「基盤インフラの構築は、当事業部の主要なサービスであり、このプロジェクトだけが特別ということはありません」と鈴木が振り返るように、このプロジェクトが三栄ハイテックスの各プロジェクトの中で突出した存在だったかというと、実はそうではない。そしてどんなプロジェクトでも、多かれ少なかれトラブルは付き物なのだ。
しかし開発規模が大きかったために、それをどう克服するかは3人の中で大きなチャレンジとなった。田中はアプリケーション担当や協力ベンダーとの調整が難航し、ただでさえタイトなスケジュールはさらに厳しさを増した。熊澤は大規模システムのストレージ構築という慣れない業務に挑むことになり、夢に見るほど悩んだこともあった。そしてプロジェクトリーダーとして全ての責任を担った鈴木は、関係する全員の進捗に常に気を配り、時にはお客様をも巻き込んで課題が大きくなる前に解決するように心掛けた。
その3人が口をそろえるのが、仲間の存在の大きさと協力体制の大切さだ。
今回のプロジェクトは規模が大きかったため役割分担が明確だったが、小規模の基盤インフラの構築では一人で担当することも珍しくない。
「だから、みんなひと通りの知識は持っていて、中でもこれが得意というモノを持っている人が多い」と田中は語る。自分の専門外のことで困った時は、お互いさまという風土がある。黙々と仕事に向き合うイメージを持たれがちなIT業界だが、少なくともここには違う空気が流れているといっていいだろう。
最後に、3人がこのプロジェクトで得たものを聞いてみた。
「このプロジェクトで得たのは、みんなの知恵と力を束ね、結集できたことへの自信ですね。今はインフラ業務から離れていますが、みんなの想いや力をひとつのベクトルに向ける旗振り役を務められたという経験は、今後も生かせると思います」と鈴木。
田中にとっては、心強い仲間の存在と同時に、いろいろな立場での「ものの見方」を培えたことが糧になった。「今回のプロジェクトでは関わる人が多く、当初はそれが難しく感じていた時期もありました。でも、相手の立場や視点を常に念頭に置くことで、仕事の連携がとてもスムーズになる。自分なりにそのやり方をつかめたのは大きかったですね」。
そして熊澤はこの時に身に付けた幅広い技術とエンジニアとしての自信が、今でも大いに役立っているという。「今、同じ目的でインフラ基盤を構築するなら、クラウドやHCIなど新しい考え方での提案ができます。もし次の機会があれば、そういった最新技術を駆使したプロジェクトに取り組んでみたいですね」。

※ HCI:Hyper-Converged Infrastructure(ハイパーコンバージドインストラクチャー。サーバー、ストレージ、ネットワーク等の基盤機能を統合して、シンプルに構成する仮想化基盤。)

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