LSIとは

世の中を変えていくLSI
指先で触れると、まるで重みも感じさせないLSIチップ。その内部には未来を切り拓く最先端技術が息づいています。
自動車、テレビ、携帯電話...。
私たちの日常生活を彩る製品は、ますます小型化され、高性能かつ高品質に進化しています。私たちが想像もつかないほどに世界を変えている存在があります。それがLSI、つまり大規模集積回路です。自動車は電子制御化され、テレビは薄くて軽量化され高画質に、携帯電話はスマートフォンの誕生により音声通話のみならず多機能になりました。これらの製品の中には、それぞれの機能を支える小さなLSIが内包されています。その小さなチップの中には、最新技術が集約され、私たちの生活をより便利で魅力的なものに変えているのです。
LSIという言葉は知っていても、正確な説明ができるという人はそう多くないかもしれません。
LSIとは「Large Scale Integration(大規模集積回路)」の頭文字をとったもの。
トランジスタやダイオード、受動素子などを集積させて、複雑な機能を実現する電子回路部品です。
シリコンなどの半導体で構成されることが一般的です。
(設計フローについての情報は、「LSI設計フロー」のページをご覧ください)

ICとLSI

IC(Integrated Circuit:集積回路)とは、トランジスタ、抵抗、コンデンサーなどの機能を持つ素子を用いて、シリコンウエハー(シリコンでできた円盤状の板)の上で形成された回路です。そして、その集積度がさらに高まったものがLSIと呼ばれます。LSI技術の進歩の歴史は、部品の微細化(高性能化)の歴史でもあります。現在、三栄ハイテックスが手掛けているプロセスルール(製造工程の最小加工寸法。この値が小さいほど回路の集積度が向上し、性能レベルの目安とされます)は「~約20nm(ナノメートル)」、素子数は「~10億/Chip」という水準に達しています。もちろんこれも、さらなる技術革新の一過程にすぎません。

LSIの歴史

Unidentified U.S. Army photographer, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で

1940年代

世界初の真空管電子計算機

1500個のリレー、70000個の抵抗、さらに計算手順を指示するためのスイッチが6000個も使用され、その規模は40平米を超える大きさに達しました。
しかし、大電力(150kW)を必要とし、大量の発熱を伴いました。さらに、真空管の信頼性が低く、継続して使用することができませんでした。

1950年代

トランジスタによるコンピューターの進化

半導体によって三極素子を実現しました。トランジスタは、小電力かつ発熱も少ない特性を持ち、電子計算機に最適とされました。この革新により、コンピューターの進化が急速に加速しました。

1960年代

ICの登場によるコンピューターの小型化

半導体に複数のトランジスタや抵抗器を集積回路(IC)化するアイデアが生まれました。この革新により、回路の小型化が実現しました。

1970年代

ICの進化

ICはますます集積度を高め、LSIの時代を迎えました。1970年代後半からは超LSI(VLSI:Very Large Scale Integration)時代が幕を開け、やがて1980年代初頭には超々LSI(ULSI:Ultra Large Scale Integration)時代へと移行しました。

1980年代

1990年代

侮れないゲーム機の実力

話題のゲーム機は、主要な構成要素として主要3チップとメモリが組み込まれています。その心臓部には、世界で初めて実現した128ビットCPUが搭載されています。最先端の半導体技術により、1チップの巨大LSIにすべての演算機能を集約することが実現されました。画像処理用LSIには4270万ものトランジスタが組み込まれ、まさに画像処理機能すべてが集積された様相です。ポリゴン描画性能やピクセル書き込み速度において、当時のグラフィックワークステーションさえも上回る驚異的な性能を実現しています。

2000年代

モバイルコンピューティング時代の到来

机の上のコンピューターから、時や場所を選ばず持ち運べる手のひらサイズのコンピューターへ。情報処理技術と通信技術が効果的に融合し、モバイルコンピューティングが実現しました。システムそのものがLSIになった「システム オン シリコン」の時代が訪れ、携帯電話は単なる通信機器から多機能な複合的端末へと進化していきました。

2010年代

LSIがデジタル家電ブームをけん引

薄型テレビ、HDD/ブルーレイディスクレコーダー、スマートフォンなどのデジタル家電が急速に普及し、時代を席巻しています。デジタル化と高機能化が急速に進展する中、これらの製品を支えるLSIの役割はますます重要性を増しています。

現在

LSIの多彩な用途

スマートフォン、ゲーム機、デジカメ、ビデオカメラ、オーディオ、車……。LSIは、電源・電池によって動くほぼ全ての製品に入っています。皆さんの日々の便利な暮らしは、LSIによって支えられているといっても、決しておおげさではありません。

IoTを支えるLSI技術

通信制御用LSI

グローバルな通話をカバーする携帯電話。そのサービスを支えるデジタル通信も、LSIの信号処理で成り立っています。

電源LSI

各電子部品への電圧、電流の供給機能を担い、デジタル家電に欠かすことができない存在となっているのが電源LSIです。

音響処理用LSI

スピーカーから流れてくる、立体的で広がりのある音の数々。音響処理用LSIは、臨場感に満ちた音づくりを担っています。

画像処理用LSI

液晶、有機EL、プラズマなど各種ディスプレーの画質調整に活躍し、クリアで自然な色再生や画像の立体化処理を行います。

センサー系LSI

温度、圧力、磁力、電波、光など、現実世界とデジタルシステムを結びつける重要な素子で、感度や反応スピードが要求される非常に高性能なLSIです。

人工知能(AI)系LSI

AI技術に必要な高速処理と処理の自由度を同時に実現するための最新プロセッサ部とプログラマブル回路を搭載する、小型で消費電力の少ないハイブリッドLSIです。

自動車をインテリジェント化するLSI

モーター・エンジン制御用LSI

クルマの心臓部には、走行状態に合わせて電気自動車のモーターを制御するLSIや、エンジンの状態に合わせて燃料の噴射や点火を制御するLSIが活躍しています。

情報制御系LSI

車間距離のキープや周囲の障害物感知、さらには走行状態を判断しての運転走行制御まで、自動車内の情報制御系LSIは、その活躍の舞台を広げ続けています。

LSI設計業務の紹介

音・画像・通信・電源など、多岐にわたるLSI設計実績!

当社は社員の90%がエンジニアであることを武器に機能設計、論理設計、アナログ回路設計、レイアウト設計、検証とLSI設計の全工程を社内で行っています。手掛けたLSIは音・画像・通信…と多岐にわたり、LSI設計技術を核にハード・ソフトの境界を越え、着実に成長を続けていきます。

アナログ回路設計

緻密な設計プロセスを積み重ねる
光・音・電気などの自然量(アナログ量)を扱うのがアナログ回路。仕様が決定したら、まず動作モデルを設計します。その後、トランジスタ、抵抗、コンデンサーなどの各種パラメーターの設定、シミュレーションを繰り返し行い、求められる機能に対する「最適解」を探していきます。


アナログ回路設計

論理回路設計/デジタル回路設計

論理設計の集合体を作り上げる
仕様に沿って、ハードウェア記述言語(Verilog-HDLやVHDLなど)を使用して機能を記述していきます。記述後はシミュレーターで、「求められている機能が達成されているか」「面積や速度などの制約条件は最適化されているか」などを検証します。


論理回路/デジタル回路設計

レイアウト設計

「理論」の回路を、「実際」の回路図へ
設計した回路を実際にレイアウトし、パターン図として形成していきます。回路設計の時点では、まだ「記号」や「線」だったトランジスタや配線も、設計ツールを用いてデザインすることで、実体の面積や太さを持ち、「かたち」として仕上がります。


レイアウト設計

実機評価

品質保証は最重要の課題
LSIの量産の前に、半導体工場で製造された試作品の評価を行います。品質保証のためには、徹底したエラーチェックが欠かせません。想定された機能や性能の確認のほか、温度・湿度の影響、耐圧、輻射などの特性をさまざまな面から評価して、不具合があればその解析を行います。

三栄ハイテックスで働くLSI設計エンジニア

三栄ハイテックスの取り組み

三栄ハイテックスは、国内でも有数の独立系LSI/半導体設計専門会社です。
LSIの機能や性能は日々進化し続けています。そのような先端デバイスの設計・開発に対応するため、三栄ハイテックスでは充実した教育体制で、専門分野に限らずシステム全体を俯瞰できる幅広い技術を持ったエンジニアを育成します。

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