LSI設計フロー

LSI設計の流れを、基本から設計のプロセスまで詳しく解説
LSI設計とは、最先端の半導体技術を活用し、効率的で高性能なシステムを生み出すための重要なプロセスです。

LSI設計に携わる会社は数多くありますが、大半は、全体の工程の一部を担当するケースです。その点、三栄ハイテックスは、専門会社として設計そのものを手掛け、設計フローの上流から下流まで一貫サポートできるのが大きな強みとなっています。それはまた、三栄ハイテックスで仕事をする人々を、知的刺激に満ちた環境が待っているということでもあります。

LSI設計は、「論理的なものの考え方」と、現場で育まれる「経験・感性」を巧みに組み合わせることで成し遂げられる、クリエイティブな仕事なのです。(LSIのより基本的な知識は、「LSIとは」のページをご覧ください)

LSI設計フロー

LSI(大規模集積回路)の設計プロセスは、多くの専門知識を必要とする複雑な作業です。以下に、主な設計フローをステップごとに解説します。

01 仕様検討

02 回路設計

機能設計

デジタル回路

機能記述 / 機能シミュレーション / 論理合成

信号を2値化して
膨大な演算を行うデジタル!

アナログ回路

定数設計 / 回路図入力 / シミュレーション

自然界は音も光も
人が取り扱う信号は全てアナログ!

ゲートレベルシミュレーション / 仮想配置配線シミュレーション

03 レイアウト設計

デジタル回路

自動配置配線

アナログ回路

アナログレイアウト

電気信号を視覚的に扱い、
美的センスも追求するレイアウト!

レイアウト検証

04 LSI試作

05 実機評価

自分の設計した回路の確認は
期待と不安が錯綜!

06 LSI量産

STEP01

仕様検討

製品の基盤を形作る重要ステップ
仕様検討は、LSI設計の基盤を固める重要なプロセスです。
LSIにどのような機能を持たせるか、性能はどの程度か、消費電力はどれくらいかなど、製品の要求仕様を詳細に検討します。製品の機能や性能、消費電力、コストなどの要件を詳細に分析・定義します。これにより、最終的なLSIの設計目標が明確になります。
三栄ハイテックスでは、顧客である大手半導体メーカーから提供される製品仕様をもとに、お客さまと密に連携しながら、設計する回路の詳細を決定します。この段階で仕様が固まることで、次のステップである「回路設計」へと進む準備が整います。
STEP02

回路設計

回路設計は、LSI設計の中心となる工程です。
アナログ回路設計とデジタル回路設計の二つに大別され、それぞれ異なる役割を持ちます。アナログ回路は、光や音といった自然の物理量を扱い、デジタル回路は機能の制御や演算を担います。この二つの回路設計が組み合わさることで、LSI全体の性能と機能が実現されます。
三栄ハイテックスでは、高度な技術を駆使し、精度の高い回路設計を提供しています。

02-01. 機能設計

機能設計は、LSIが実現すべき動作や役割を具体化する工程です。
LSIには、さまざまな機能を持たせる必要があり、その機能がどう動作するかを定義するのが機能設計です。製品に求められる機能を、どのような回路で実現するかを設計者が検討し、最適な回路構成を決定します。
例えば、家電製品のボタン操作や自動車のセンサー制御など、特定の入力に対してどのような動作をするのかを、設計者は事前に決定し、その仕様をもとに回路の設計を進めていきます。この段階では、製品の要求仕様を十分に理解し、それに基づいた最適な動作を達成するための回路構造を検討します。
機能設計の結果は、アナログ回路設計やデジタル回路設計の土台となります。製品全体の性能と信頼性を左右するため、非常に重要な役割を果たします。

02-02. デジタル回路設計

デジタル回路設計は、機能を実現するための回路を設計する工程です。
デジタル回路設計では、信号を2値(0と1)で処理する回路を設計します。
例えば、家電製品のボタン操作や動作の指令を担当するのがデジタル回路です。設計はVerilog-HDLやVHDLといったハードウエア記述言語を用いてプログラム的に行われます。デジタル回路は、プログラミング技術と密接に関わっており、迅速な機能開発が求められる分野です。

02-03. アナログ回路設計

アナログ回路設計は、光や音などの自然の物理量を扱う回路を設計するプロセスです。
アナログ回路は、現実世界のアナログ信号(音、光、電圧など)を直接扱います。
具体的には、カメラのレンズが光を取り込む際に動作する回路などがアナログ回路の一例です。アナログ回路の設計では、MOSやコンデンサー、抵抗などの電子素子を使用し、電圧や容量のシミュレーションを通して設計が進みます。基礎的な物理法則を応用しながら、時には高度な数学的手法を駆使して新たな回路を設計します。

02-04. ゲートレベルシミュレーション / 仮想配置配線シミュレーション

ゲートレベルシミュレーションと仮想配置配線シミュレーションは、設計の完成度を確認するためのシミュレーション工程です。
ゲートレベルシミュレーションと仮想配置配線シミュレーションは、LSI設計における重要な検証工程です。
 

ゲートレベルシミュレーション

ゲートレベルシミュレーションは、RTL設計を論理ゲートレベルに合成し、タイミング特性や論理的な正しさを検証するシミュレーションです。Verilog-HDLやVHDLで記述された回路の動作を詳細にシミュレートすることで、設計ミスやタイミング違反などを早期に発見し、修正することができます。

仮想配置配線シミュレーション

仮想配置配線シミュレーションは、回路を実際のLSI上に配置し、配線を行った状態をシミュレートする工程です。物理的なレイアウトによるタイミングのずれ、ノイズ、電力消費などを評価し、回路が想定通りに動作するかを確認します。

これらのシミュレーションを通じて、設計の完成度を高め、製品の品質を確保することができます。
STEP03

レイアウト設計

回路図から現実のデザインへ
レイアウト設計は、回路図を実際の物理設計に変換するプロセスです。
回路設計で作成された図面を基に、トランジスタ、抵抗、コンデンサーを物理的に配置し、実際のLSIの形状をデザインしていきます。この段階では、配線の太さや配置、部品の面積などが考慮され、小さなLSI内部に効率よく部品を配置する技術が求められます。

03-01. デジタルレイアウト

デジタル回路のレイアウトでは、自動配置配線ツールを使用して、効率的な配置を実現します。自動ツールは、回路の論理配置を基に配線を自動的に行い、スペースを最適化します。これにより、高密度かつ高性能なデジタル回路が構築されます。

03-02. アナログレイアウト

アナログ回路のレイアウトは、デジタル回路と異なり、手動で行われることが多く、高度な専門知識と経験が必要です。アナログ回路はノイズに敏感で、精密な配置が求められます。そのため、電気信号が最適に流れるようにレイアウトし、さらに美的センスも求められることから、アートのような側面も持っています。

03-03. レイアウト検証

レイアウトが完成したら、検証作業が行われます。配線が正しく行われているか、信号の遅延やノイズの影響を最小限に抑えられているかをシミュレーションを用いて確認します。この段階で発見された問題は、再設計や微調整を行い、品質の向上を図ります。
STEP04

LSI試作

設計した回路を実際にチップとして試作します。この段階では、設計通りに回路が動作するかどうかを確認します。
STEP05

実機評価

試作したLSIを評価し、期待通りの性能を発揮するかどうかを確認します。ここで得られたデータに基づいて、必要があれば修正を行います。
STEP06

LSI量産

最終的に、設計が完成したLSIは量産され、市場に投入されます。

LSI設計で使う主なツール

  • HDL(Hardware Description Language): VerilogやVHDLといった言語を使って、回路の動作を記述します。
  • EDA(Electronic Design Automation)ツール: 回路シミュレーション、論理合成、配置配線など、設計の各工程を自動化するためのツールです。

デジタル回路設計フロー

STEP01

アーキテクチャ設計

デジタル回路設計の第一歩は、パイプラインやリソースの共有といった論理構造を意識しながら、最適なアルゴリズムやアーキテクチャを探ることです。設計には、C/C++などのプログラミング言語を使うほか、必要に応じてMATLAB/Simulinkを用いてモデルを作成します。また、Mixed-Signal回路設計においては、社内のアナログ設計エンジニアと緊密に連携し、バランスの取れた最適な設計を目指します。新しいツールや技術を積極的に活用し、常に設計の精度向上を追求しています。

STEP02

論理設計

次に、設計意図をしっかりと明確にしながら、論理回路の設計を行います。第三者にも理解しやすい、丁寧で見やすいドキュメントを作成することで、設計の信頼性と透明性を確保します。

STEP03

論理検証

経験豊富なエンジニアが、回路の検証にあたって、あらゆるシナリオを想定し、抜け漏れのない検証を実施します。System VerilogやUVMなどの最新の検証手法を積極的に活用し、品質向上と検証効率の向上を実現します。

アナログ回路設計フロー

STEP01

仕様検討

当社の設計者は、単に設計するだけでなく、製品の要求仕様に基づいて設計仕様をまとめるところから関わります。LSIや半導体の開発に必要な仕様を、エンジニア自身が検討することで、より精度の高い設計が可能です。

STEP02

アーキテクチャ設計

システムLSIが求める動作や特性を実現するために、MATLAB/SimulinkやVerilog-Aといったツールを駆使してアーキテクチャを設計します。Mixed-Signal LSI開発では、アナログとデジタルを適切に融合させる設計を行います。さらに、システムLSI設計の効率化を図るトップダウン方式を採用しており、効率よく高品質な設計を行うことが当社の強みです。

STEP03

回路設計

設計仕様とアーキテクチャに基づき、回路定数を設定します。設計後には、アナログ特性をピュアSPICEで、Mixed-Signal回路をAMSで検証し、精度の高い設計を実現しています。また、国内外の主要な半導体ファウンドリ(FAB)のPDKを活用し、設計・検証環境はすべて社内で構築しています。設計や検証ツールの最適化にも力を入れ、常に最新の環境で作業を進めています。

STEP04

レイアウト設計

当社では、回路設計者とレイアウト設計者が密に連携し、回路特性を保ちながら最小限のレイアウトサイズを実現します。さらに、物理検証だけでなく、ポストレイアウトシミュレーションも実施し、信頼性を高めています。

STEP05

Fab工程

STEP06

試作評価

試作したLSIや半導体を、専任の技術者と高度な測定機器で評価します。社内で設計したものはもちろん、お客さまの設計によるLSI/半導体も評価可能です。

レイアウト設計フロー

STEP01

キックオフ会議

プロジェクト開始時に、体制やスケジュールを全員で共有します。この会議では、回路の確度やリリース予定を確認し、優先順位の高い内容について話し合います。また、レイアウト仕様の提示方法や進捗確認の頻度、チェック体制についてもここで決定します。

STEP02

feasibility study(実現可能性調査)

回路設計とレイアウト設計のやり取りを最小限に抑え、効率よく進めることを目指します。レイアウト制約に応じて、最適な回路定数を調査し、寄生成分を考慮したパーツやレイアウトの作成を行います。これにより、LPE(レイアウトパラメータ抽出)まで対応し、パーツ単位での利用が可能になります。

STEP03

フロアプラン

回路設計者の意見を直接反映し、高品質なフロアプランを作成します。レイアウト仕様に記載された内容が適切に反映されているか確認し、さらに仕様に載っていない細かい要望にも対応します。レイアウト側からの要望も早い段階で回路側に伝え、迅速に反映してもらいます。

STEP04

ブロックレイアウト・全体レイアウト

回路設計の進捗に合わせてレイアウト設計を調整し、柔軟に対応します。定期的な社内進捗確認会を実施し、進捗を常に共有することでプロジェクト全体のスムーズな進行をサポートします。LPE抽出のフィードバックにも迅速に対応し、効率的なレイアウト設計を進めます。

STEP05

レイアウト検証

当社独自のレイアウト検証に加えて、汎用チェックリストを使用した検証も実施しています。また、ツールを活用した機械的なレイアウトチェックを推進し、品質向上に努めています。必要に応じて補助ルールファイルや目視チェックを軽減するDRCルールを作成し、検証作業を効率化します。

STEP06

設計レビュー(社内・顧客)

中間レビューや定例会を通じて、レイアウト状況を定期的に確認し、適宜報告・確認を行います。これにより、大きなフィードバックを回避し、スムーズにプロジェクトを進めます。QAやAI管理も当社で実施し、お客さまの負担を軽減します。

STEP07

納品

業界標準のツールを使用して、レイアウトデータ(GDS/OADB)を納品します。また、お客さまのニーズに応じたレイアウト設計報告書を作成し、プロジェクトの成果を明確に報告します。

LSI設計業務の紹介

音・画像・通信・電源など、多岐にわたるLSI設計実績!
当社は社員の90%がエンジニアであることを武器に機能設計、論理設計、アナログ回路設計、レイアウト設計、検証とLSI設計の全工程を社内で行っています。手掛けたLSIは音・画像・通信…と多岐にわたり、LSI設計技術を核にハード・ソフトの境界を越え、着実に成長を続けていきます。

LSI設計/半導体設計

三栄ハイテックスで働くLSI設計エンジニア

三栄ハイテックスの取り組み

三栄ハイテックスは、国内でも有数の独立系LSI/半導体設計専門会社です。
LSIの機能や性能は日々進化し続けています。そのような先端デバイスの設計・開発に対応するため、三栄ハイテックスでは充実した教育体制で、専門分野に限らずシステム全体を俯瞰できる幅広い技術を持ったエンジニアを育成します。

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