メタバースの3Dアバター開発

「既存事業との化学反応」のもととなる新領域の技術を構築する。
―メタバースの3Dアバター開発プロジェクト―

MEMBER プロジェクトメンバー

O

R&D 第1プロジェクト
メタバースの3Dアバター開発プロジェクトリーダー

I

R&D 第1プロジェクト
メタバース空間のプラットフォームとアプリの開発を担当

S

R&D 第1プロジェクト
アバターのコンセプト立案やデザイン、完成したアバターデータのデバッグを担当

N

R&D 第1プロジェクト
アバターのチェックを担当

1977年創業の三栄ハイテックスはLSI設計/半導体設計の専門会社として成長を続けている。スマートフォン社会となり次世代移動通信システム・5G、IoTの実用化が進むなど半導体の存在感が高まる中、三栄ハイテックスが担う役割は大きい。その一方でAI・メタバースといった次世代技術にも挑んでいる。

O R&D第1プロジェクトはAIやメタバース分野の新たな事業開拓の可能性を模索しています。その中で、メタバースでユーザーが使用する「アバター」に着目しました。アバターはいわばユーザーの分身であり、こだわりを持つユーザーは少なくありません。私たちはそこに新たな事業の可能性を感じ、アバター開発プロジェクトを立ち上げました。

仮想空間を舞台にした新たな挑戦。それは歴史ある三栄ハイテックスのエンジニアにとって未知の領域だった。

I 私はアバターを使用するメタバース空間のプラットフォームとアプリの開発を担当しました。ただアプリ制作用ツールを使うのは初めてで、三栄ハイテックス全体でも使用実績のないもの。右も左も分からない中での始動でした。

O 日本国内ではメタバースの開発・運営は着実に進んでおり、その市場状況では私たちはチャレンジャーです。業界の水準に追いつくためには未知のツールを使いこなせる人材が必要であり、Iくんにそのミッションを担ってもらいました。主要メンバーである他の2人も、高いハードルを跳び越えられるエンジニアとして声をかけました。

S アバターのコンセプト立案やデザイン、完成したアバターデータのデバッグを担当しました。

N 主にアバターのチェックを行いつつ、これまでの経験を生かしてIくんが取り組むメタバースのプラットフォーム開発をサポートしました。

アバターのアイデアメイキングからデザイン・デバッグまでを行うと同時に、メタバース空間の設計にまで取り組む新たなプロジェクト。4人のメンバーは、既存事業で培ってきた論理的思考と緻密さを発揮して一歩ずつ歩みを進めていく。

O アバターに求められるのは、ユーザーが感情移入できるクオリティーです。髪の毛やリボンの揺れなどのリアルな動きを実現するために物理演算を用いました。新たな知見を取り入れるのは簡単ではありませんが、来たる発表のチャンスに向けてスピーディーに開発を進めていきました。

プロジェクトチームが急ぐのには理由があった。それは半年後に迫ったアジア最大規模のICT見本市「COMPUTEX TAIPEI 2023」への出展だ。メンバーたちはこの機会を、成長を続けるメタバースのアジア市況を肌で感じ、三栄ハイテックスの技術水準を知る試金石として位置づけた。

O アバター市場の現在地を知るうえで「COMPUTEX TAIPEI 2023」に出展することには大きな意味があります。アジアの潮流を理解し、個人・法人を問わず市場ニーズをくみ取るためにも、半年後というタイトなスケジュールではありましたが完遂することだけを考えました。

S 出展に向けて男女それぞれ50体ほどのアバター開発に着手しました。さまざまな国や地域から来場者が訪れることを想定して、アバターはデザイン性を打ち出しながらも多様な価値観が配慮したものを設計できるよう、アバター関連の情報を収集してデザインの幅を広げることを意識しました。

N 三栄ハイテックスとして展示するアバターである以上、来場者の属性や価値観にそぐわない内容では企業姿勢が問われてしまいます。そのためアバターデータは細心の注意を払ってチェックしました。
I 私が開発したのは、学校の教室、秋葉原の街並み、サイバーシティーなどのシーンでアバターの魅力を体感いただくためのアプリサービスです。数ある出展社の中から来場者の記憶に残るには、単にアバターを展示するだけでは物足りない。そこで来場者が3Dアバターを動かして楽しめるコンテンツを目指しました。

N 種多様な来場者が訪れる見本市である以上、アプリにはグローバル仕様が求められます。メタバースやアバターに触れたことのないビギナー層にも配慮して、可能な限りシンプルでわかりやすく、直感的に操作できるアプリをイメージしながら、Iくんにアドバイスしました。

O メタバース市場に打って出るチャレンジャーとして大事なことは「インパクトを与える」ことだと考えました。バリエーションに富んだアバターとメタバースシーンを限られた期間で作り上げるのは大変なことでしたが、チーム一丸となり乗り越え「COMPUTEX TAIPEI 2023」当日を迎えることができました。

「COMPUTEX TAIPEI 2023」にはプロジェクトチームからIが参加し、来場者に3Dアバターとアプリサービスの特長をアピールした。努力の結晶は現地でどのように受け止められたのだろうか。

I 三栄ハイテックスのブースはお世辞にも人流の多い位置ではありませんでしたが、通りかかる来場者の注目を集めることができました。紹介動画やアバターとメタバース体験アプリに興味を示し、国内外多くの企業と接点をもてたことは大きな収穫です。市場としての拡大可能性を肌で感じる熱気に満ちた会場で、三栄ハイテックスの“新たな一面”を発信できたと思います。

S 3Dアバターの制作に関わるのは初めての経験で不安もありましたが、見本市での好評という結果につながり達成感をかみしめています。プロジェクトを振り返ると楽しさも多く、今後に役立つであろう新たな知見も得られました。

アジアを舞台にしたプロジェクトを経て、エンジニアとして成長を遂げた4人。得られた知見を糧に、すでに新たな挑戦に動き出している。

N メタバースと現実空間をリンクさせる新たな試みに取り組んでいます。Iくんもメンバーの一員で、私が現実領域、Iくんがメタバース領域を担当し、実現可能性を探る真っ最中です。

I 今回のプロジェクトでアプリサービスの枠でメタバース開発に関わらせてもらい、その知見と経験をもとにメタバースの空間やシステム全体の構成に挑戦しています。未知の部分が多いですが、将来三栄ハイテックスやお客さまの事業にどんな価値をもたらすのか楽しみです。

S 三栄ハイテックスには市場で一定の地位を築く既存事業がいくつかあります。それらとメタバースやアバターの技術を組み合わせれば、今までにないような製品・サービスを生み出せるかもしれません。既存技術と新規技術の“化学反応”を呼び起こせるよう、これからも可能性を探っていきたいです。

O メタバースといえばエンタメ業界をイメージしていましたが、出展後には一般企業からお問合せいただくなど、メタバースの活用先は想像以上に広いと実感しています。バーチャルショップや社内コミュニケーションツールとしてのメタバース活用などあらゆる可能性を想定しながら、私たちが作り上げた技術の今後を見守っていきたいです。
※2023年10月時点での情報です。